不動産取引の「現況(現状)有姿」について

不動産の売買をする際に「現況(現状)有姿」という言葉を使うことがあります。今回は言葉の意味や注意点について解説いたします。

現況(現状)有姿とは

中古物件を情報を見ていると「現況有姿」や「現状有姿」という言葉を見かけることがあります。これは、「今のままの状態で取引対象の土地や建物を引き渡します」という意味になります。

なぜ現況(現状)有姿が必要か?

不動産取引は契約から引き渡しまで2ヶ月前後かかることが一般的です。その際、契約時と引渡時で物件の状態が異なることも少なくありません(建物や設備の経年劣化、植栽の状態等)。

そういった変化も含めて引渡時の状態で引き渡すというのが「現況(現状)有姿」です。

契約不適合責任との関係

契約に適合しない(土壌汚染や埋設物、雨漏り、給配水管の損傷等)土地・建物を引き渡してしまった場合、売主は契約不適合責任を問われます。

不動産取引における契約不適合責任とは?

買主が現況(現状)有姿の引渡しに合意した場合、売主の契約不適合責任は問われるのか、というご質問をいただくことがありますが、現況(現状)有姿は契約不適合責任を免責する根拠とはなりません。

契約不適合責任を免除したい場合は別途その旨を契約書に記載しましょう。

契約書への記載方法

現況(現状)有姿で取引を進めたい場合、契約書への謳い方として「本契約は現況(現状)有姿での引渡しとする」と漠然と記載するのは控えた方がいいです。例えば、「引渡しまでに本物件に変動が生じた場合でも、売主は引渡し時の現状のまま本物件を引き渡せば足りるものとする」というように、何を示すか明確に記載することをおすすめします。

終わりに

中古住宅を取引する際は、現状のままの引渡しなのか、そうでないかを双方で確認し、現況(現状)有姿の場合はその旨を明確に契約書に反映するようにしましょう。