目次
- 1 契約の解除とは
- 2 債務不履行による契約の解除
- 3 契約不適合による解除
- 4 手付による解除
- 5 融資特約による解除
- 6 譲渡承諾の特約による解除
- 7 反社会勢力の排除に関する特約に基づく解除
- 8 終わりに
契約の解除とは
他の契約と同様に不動産の取引ついても契約の解除が認められます。しかしそれは必ずどんな時も認められるわけではなく、一定の条件をもとに解除権というものが発生し、それを行使する(契約の相手方に契約を解除する旨の意思表示をする)ことによって解除ができます。
それではどのような場合に契約の解除が認められるのか、具体的に見ていきましょう。
債務不履行による契約の解除
履行遅滞
売主が建物の引渡しを行ないままでいる場合(=履行遅滞)の場合は、売主は建物を引渡す義務(=債務)があるにもかかわらずその履行を怠っていることになります。また、買主が期日を過ぎても売買代金を支払わない場合も同様に、買主は売買代金を支払う義務(=債務)があるにもかかわらずその履行を怠っていることになります。このような場合、売主・買主それぞれの義務(=債務)を不履行の状態にしている、つまり履行遅滞であるといえます。
不完全履行
これは、買主が期日までに売買代金の一部を支払ったものの、残額が期日を過ぎても支払われないような場合をいいます。
履行不能
これは主に、契約締結から引き渡しまでの間に何らかの原因で建物が滅失・損傷してしまい、建物を引渡せなくなってしまった場合をいいます。また買主視点でいえば、ローンの審査が通らず金銭の支払いができなくなってしまった場合をいいます。
契約不適合による解除
不動産取引においても、他の取引と同様当初の契約内容と現実に引き渡された土地建物が異なっている場合があります。例えば、建物に予期せぬ欠陥や埋設物があったことや契約と実際の土地面積量が違うこと、土地建物に他人の権利がかかってしまっている場合をいいます。これらについては以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、ご参照ください。↓
手付による解除
契約締結時には、売買代金の一部を買主から売主に支払う「手付金」というものが存在します。契約締結からどちらかが履行に着手するまでの間に買主はこの手付金を手放すことにより、また売主は受け取った手付金の倍額を買主に支払うことにより、売買契約を白紙にする形で解除することができます。
詳細については以下をご覧ください。↓
融資特約による解除
買主がローンの本審査に落ち、また他の金融機関からも融資を受けられない場合に契約を白紙にする形で解除できるという特約です。
詳細は以下をご参照ください。↓
譲渡承諾の特約による解除
マンション等の建物の敷地が他人の所有している土地であり、それを建物の持ち主に賃借している場合(借地権)、建物売買の際には敷地の持ち主の承諾書が必要になります。この承諾書が得られなかった場合に、契約を白紙にする形で解除できるとする特約をいいます。
以下で詳細を記載しているため、ご参照ください。↓
反社会勢力の排除に関する特約に基づく解除
契約を締結する際に売主、買主どちらも反社会勢力でないことを確認し、また万が一反社会勢力であった場合に契約を解除できるとともに、売買代金20%相当の違約金が発生するという条項です。
①当事者や、会社であれば役員が反社会勢力でないこと
②反社会勢力に自己の名義を使用させて契約を締結するものでないこと
③対象物件や土地の引渡し・売買代金の支払いまでの間に暴力行為や威力的な言動、人を欺きまたは威力を用いた行為により相手方の業務や信用を害する等のことがないこと
以上が反社会勢力の排除に関する特約の要件になります。
終わりに
不動産取引においてはさまざまな解除の要件があり、また個々のケースに応じて白紙解除になるのか、はたまた損害賠償や違約金等が発生するのかが異なってきます。本記事を参考に、不動産の円滑な取引をする助けになれば幸いです。